相続人の悩みにつけこむ金融機関
よく金融機関は「遺言信託」を勧めてきます。
これは、信託銀行を遺言の執行者として指定して、相続が発生した時には遺言執行者である信託銀行が、遺言書通りに執行するというものです。
一見相続に関する事項をすべてお任せできて、とても安心する制度のように思えます。しかし、遺言執行に対する手数料が非常に高いのです。例えば3億円の相続財産の場合の執行手数料は1千万円にもなります。それ以上の財産であればさらに高くなります。それだけ手数料をとるのであれば十分なサービスが受けられると思ったら大間違いです。
実は、遺言信託によって信託銀行が遺言書の内容に関してできるのは、財産リストを作ることだけ。相続人の認知や排除など、身分に関することは一切行えません。さらに相続人間で遺産分割紛争が起きている場合、もめ事に巻き込まれないように遺言の執行は出来ないこととなっています。また、相続税申告は別途報酬を払って税理士に依頼する必要があります。つまり、遺言信託は、遺言書の作成のアドバイス位しか提案できません。財産を守るためには結局のところ自分で動くことになるのです。