タワーマンション節税が出来なくなる?(相続税の評価方法の改正)

1 タワーマンション節税とは?

現行法ではいわゆる数百戸規模の大型タワーマンションについては、市場価格(購入金額)に比べて相続税の不動産評価額は大幅に低い評価額で計算することが出来ます。

この差額を利用した節税を「タワーマンション節税」と呼んできます。

2011年から2013年に売買された343物件を国税庁が試算したところ、評価額は平均で「時価の3割ほど」でした。

具体的には、市場価格1億円の高層タワーマンションの1室を購入した場合、相続税評価額としては約3割の評価額の3,000万円となります。

また、基本的に高層階のタワーマンションは中古で売却してもほとんど購入価格と変わらない金額で売却することが可能なのです。

従いまして、実質的な価値が落ちていないタワーマンションが相続税評価の時だけ低く抑えられる(=納税が少なくなる)という事なのです。

相続時に現金で1億円そのまま持っていれば、1億円の相続財産として課税されますが、その1億円でタワーマンションを購入すれば3,000万円の相続財産として評価できてしまいます。

2 改正の内容

上記の節税は主に富裕層がよく使用してきた節税方法であり、公平な課税を阻害するという趣旨よりタワーマンションの評価を増加させる改正が行われました。

一般的な戸建ては市場価額の6割程度で評価されているという実態に合わせて、タワーマンションも同様の評価額に近づける計算方法が国税庁からR5.10.6に公表されました。

3 改正への影響

この改正は令和6年1月1日以後の相続・贈与・遺贈について適用されます。

従いまして、令和5年12月中に贈与したものは古い計算方法のため贈与税が低く計算できます。

さらに、別の記事で触れましたが暦年贈与について相続税に加算される期間が相続開始前3年から7年へ改正されるのも令和6年1月1日からのため、そちらの面からも令和5年中の生前贈与が有効だと思われます。

参考までに具体的な計算は以下の通りとなります。

【参考】新たな評価方法の概要

マンション一室の評価額=建物部分の価額(固定資産税評価額×1.0×区分所有補正率)+敷地部分の価額(敷地全体の価額×共有持分(敷地権割合)×区分所有補正率)

評価水準※1 適用する区分所有補正率 評価額への影響
1超 評価かい離率※2 引下げ
0.6以上1以下 適用なし なし
0.6未満 評価かい離率※2×0.6 引上げ

※1評価水準=1÷評価かい離率

※2評価かい離率=A+B+C+D+3.220
A:一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B:一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切捨て)
総階数÷33(1を超える場合は1。総階数に地階を含まない)
C:一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
専有部分が地階の場合、所在階は零階としCの値は零とする
D:一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切上げ)
一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積÷専有部分の面積

この記事を書いた人
あさひ税理士事務所/池袋相続相談センター
代表税理士 千葉実

あさひ税理士事務所代表
税理士事務所勤務時代より法人・個人・相続と様々な業務を経験しており、特に相続関係については、おおよそ20年の経験の中で多くのお客様から高い信頼を頂いております。当事務所の特徴としては大手事務所にはないフットワークの軽さや相続専門税理士が誠実にお客様に寄り添いながらご対応させて頂くことです。
2019年に池袋相続相談センターのホームページを公開し、司法書士と共同で連携をとることにより相続に関する様々な事の無料相談をお受けしております。年間相談件数は80件以上。相続税に限らず、遺言書作成、預金・株式・不動産等の名義変更、生命保険の解約手続き、相続放棄まで一つの窓口で完結できる体制を整えております。

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