忘れたころにやってくる相続税税務調査について知っておく事
相続税の申告をしてほっと一息ついていた所、税務署から税務調査がしたいと連絡がありました。いったい何だろうと不安がよぎると思いますが、相続税の税務調査は他の税目に比べて結構高頻度に行われますので基本は落ち着いて普通に対応して頂ければ問題ありません。
ただ、税務調査がどのようなものが知っておくとより一層心に余裕が持てると思います。
1 税務署がやってくる理由は2つ
税務署がやってくる理由は大きく分けて2つ、1つは相続税申告書の計算や評価に誤りがある場合、もう1つは申告書に記載されていない財産が存在する場合です。
税務調査は基本的に後者の「財産の記載漏れ」を確認するためがほとんどです。
2 税務調査には「強制調査」と「任意調査」がある
税務調査は大きく「強制調査」と「任意調査」に分けられます。前者は悪質な相続税逃れを取り締まるために強制的に行われるもので、国税局査察部(通称「マルサ」)が行います。一般の市民には無縁の話です。大半の税務調査は、後者の任意調査で故人の管轄税務署の資産課税部門が担当します。
3 任意調査の流れ
任意調査は、相続人への主に電話で「事前通知」があらかじめ行われます。
そこで日程などを調整します。
任意とは言え、事前通知がきたら拒否するのはまず難しいです。むしろ、協力的な方が心証はいいでしょう。
実地調査は相続税の申告から1~2年後の秋と忘れたころに来ることが多いです。
調査日程は通常1日ですが、長い場合は2~5日程度かかる場合もあります。
調査を受ける場所は、故人が生活していた自宅を希望してくる場合が多いです。
4 調査官の質問
実地調査の当日の朝は、大体2人1組の調査官がご自宅へ伺います。
調査官の聞き取り調査は、雑談のような質問でも、ほぼすべてにその質問の目的があります。
例えば、故人の趣味がゴルフだった場合は、ゴルフ会員権があるのではないかの確認と言ったところです。
質問の目的は申告漏れ財産の有無と隠ぺいが意図的であったのかどうかを知ることです。
実は、調査官は実地調査前に、事実の大半を事前に調べてからやってきます。ターゲットとなりそうな人に対し、生前の資料から調査を行うことでどんな財産がいくらあるのか見積もったり、故人に限らず親族の預金口座をあらかじめ把握してきています。そのため、調査で最も大事なのは絶対にウソをつかないこと。仮装や隠ぺいとみなされれば最も重いペナルティーである重加算税だけでなく、財産を隠していたのが配偶者の場合は、その軽減措置までも受けられなくなる可能性があるからです。
故意ではなくとも調査を受けた8割超の家庭が財産の記載漏れがなどを指摘され追加納税が発生しています。税務調査については怯える必要はありませんが、落ち着いて対応することが肝要です。
税務調査は税理士が同席して立ち会うこともできます。
ご心配の場合は税理士へ税務調査立会の相談した方が良いでしょう。
税務調査で狙われる主なケース
- 長期間、出金記録がない預金通帳(休眠口座)や、はるか昔に購入した不動産がある
- 家族はおろか、本人も忘れているケースが多く申告漏れになりやすい
- 家族名義の入金しかない通帳がある
- 名義預金ではないか
- 相続財産が故人収入の多さに見合わない
- 税務署は故人の所得税の申告などから、事前に相続財産をある程度見積もっています
- 配偶者が専業主婦など収入が低いにも関わらず、多額の預貯金や株式を持っている
- 故人が生前に贈与していたか、財産を配偶者名義で隠しているのではないか
- 生命保険料の支払者と契約者が異なる生命保険がある
- 名義保険の可能性があるのではないか
- 多額のタンス預金がある
- 高確率で発覚します。隠ぺい財産として重加算税の対象となってきます。死亡直前に多額の出金があるケース