相続税の申告期限は相続から10ヵ月以内ではない場合があります!

1 相続税の申告期限の原則

相続税の提出義務者は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」に、相続税の申告書を提出しなければなりません。
この場合の、相続の開始があったことは知った日とは、原則として被相続人の死亡の日となります。

「相続の開始があったことを知った日」とは、単に、相続の事実を知った日すなわち、被相続人が死亡した事を知った日をいうのではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った日」をいいます。例えば下に掲げる者についてはそれぞれの日を「相続の開始があったことを知った日」として取り扱います。

事由 相続の開始があったことを知った日
失踪宣告を受け死亡したものとみなされた者の相続人又は受遺者 それらの者がその失踪宣告に関する審判の開始があったことを知った日
認知に関する裁判又は相続人の廃除の取消しに関する裁判の確定により相続開始後において相続人となった者 その者がその裁判の確定を知った日
相続人の廃除に関する裁判の確定により相続開始後において、相続人となった者 その者がその裁判の確定を知った日
相続について既に生まれたものをみなされる胎児
(出生前の胎児)
法定代理人がその胎児の生まれたことを知った日
相続開始の事実を知ることができる弁識能力がない幼児等 法定代理人がその相続の開始のあったことを知った日(相続開始の時に法定代理人がない時は、後見人の選任された日)
遺贈(被相続人から相続人へ対する遺贈を除きます)によって財産を取得した者 自己のためにその遺贈があったことを知った日
停止条件付の遺贈(被相続人から相続人に対する遺贈を除きます)によって財産を取得した者 その条件が成就した日

2 相続税の申告期限の特例

災害その他やむを得ない事由があったことにより、相続税の申告書を法定申告期限(①の原則の期限)までに提出できない場合には税務署長の職権又は納税義務者からの申請により法定申告期限が延長されることがあります。

(1)災害による延長

事由 手続 申告期限の延長の内容
災害その他やむを得ない理由 税務署長の職権又は申告義務者の相当期間内の申請 その理由がやんだ日から2か月以内の期限の延長

(2)申告書の提出期限が下記の事由が生じた日以後1月以内に到来するとき

  事由 手続 申告期限の延長の内容
認知、相続人の廃除又はその取り消しに関する裁判の確定、相続の回復、相続の放棄の取消しその他の事由により相続人に異動を生じたこと 相続人等の申請 左の事由が生じたことを知った日から2か月の範囲内で延長
遺留分の侵害額の請求に基づき支払うべき金額の額が確定したこと
遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があったこと
相続又は遺贈により取得した財産についての権利の帰属に関する訴えについての判決があったこと
相続の開始後に認知された者の価額の支払い請求権に基づく請求があったことにより弁済すべき額が確定したこと
相続人について失踪宣告があったこと
死亡退職手当金等の支給額が確定した場合

(3)その他

事由 手続 申告期限の延長の内容
相続人となるべき胎児がある場合で胎児が生まれたものとして課税価格及び相続税額を計算した場合において、他の相続人等の申告義務がなくなるとき その胎児以外の相続人等の申請 胎児の生まれた日後2か月以内の範囲内で延長

出典:図解相続税・贈与税

以上の様に相続税の申告期限は諸事情により変わってきますが、基本的には納税義務者が有利なように特例は規定されておりますので、あまりご心配頂かなくても大丈夫です。
ちなみに上記以外にもまだ特例はありますが、さらに特殊になってまいりますので割愛させて頂おります。

この記事を書いた人
あさひ税理士事務所/池袋相続相談センター
代表税理士 千葉実

あさひ税理士事務所代表
税理士事務所勤務時代より法人・個人・相続と様々な業務を経験しており、特に相続関係については、おおよそ20年の経験の中で多くのお客様から高い信頼を頂いております。当事務所の特徴としては大手事務所にはないフットワークの軽さや相続専門税理士が誠実にお客様に寄り添いながらご対応させて頂くことです。
2019年に池袋相続相談センターのホームページを公開し、司法書士と共同で連携をとることにより相続に関する様々な事の無料相談をお受けしております。年間相談件数は80件以上。相続税に限らず、遺言書作成、預金・株式・不動産等の名義変更、生命保険の解約手続き、相続放棄まで一つの窓口で完結できる体制を整えております。

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